社長COOメッセージ

中長期の成長を
見据えて、
抜本的な改革を推進。

取締役 代表執行役社長 COO

2021年度の業績を振り返って

中期経営計画(2021-2023)の初年度だった2021年度は、原材料の高騰に始まり、長引くコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻と、思いもよらないことばかりの1年でした。そうした中、2022年2月に、2021年5月公表の業績予想を修正しました。日本、欧州、アセアンで当初計画の売上達成が困難と予想されたこと、原料価格と物流費等の上昇が生産コストに大きく影響したことなどがその理由です。最終的に、前年度と比べると連結業績は増収減益に、2月の修正公表値と比べると売上高、営業利益ならびに当期純利益とも上回る結果となりました。また、リージョン別でみると、米州の売上高が大幅に増えて前年比増収となり、日本・欧州・アセアンでは減収になりました。

開発体制の再構築をはじめ、思い切った取り組みに次々と着手
大変な1年ではありましたが、混沌としている今こそ平時ではできない抜本的な改革のチャンス、という捉え方をしています。フジシールグループは今年、創業125周年を迎えました。次の100年に向けて直近の10年をどうしていくのか、当初の中期経営計画には含まれていなかった思い切った取り組みを、先回りする形で開始しています。

その一つが、開発体制の再構築です。これまでは事業部ごとに商品開発を行うことが多かったのですが、事業部横断型の開発体制に変えました。これは非常に大きなチャレンジで、今後、新商品や既成概念を覆すような組み合わせの商品がどんどん出てくるのではないかと期待しています。さらに一人当たりの売上や利益を効率良く伸ばしていくためのプラットフォーム導入、SGA(販売費及び一般管理費)の改善に向けたDX推進などにも着手しています。さまざまなデータを見比べると、SGAが抑えられているのは米州、不良率が低いのは日本、といったようにリージョンごとに特徴があることがわかります。せっかくグローバルで展開しているので、お互いの “いいとこ取り”をしながら、より良い組織づくり、より早い目標達成を実現していきたいと考えています。

9つのマテリアリティ(重要課題)については、2022年度も継続して取り組んでいきます。

グループサステナビリティ委員会で設定した目標を2年前倒しで達成することができたのですが、よく考えると、どれも私たちが昔からやっていること、DNAとして受け継がれていることなので、当然なのかもしれません。それをあらためて言語化し、発信したことが外部の評価にもつながりました。

人と環境にやさしい新モデル工場の建設

2022年度の連結業績としては、売上高5.1%、営業利益5.0%の増収増益を予想しています。また、事業戦略には、「エッセンシャルビジネスとしての供給責任(新モデル工場の建設)」「差別化製品の投入」「既存ビジネスの合理化」の3つを掲げています。

中でもメインとなるのが、新モデル工場の建設です。2022年12月に完成予定のノースカロライナ新工場は、「米州における持続的な成長を支える生産体制の構築」という位置付けで、溶剤レスや自動化など“人と環境にやさしい工場”を目指しています。また、山形県とタイのプラカサでは、フジシールグループの強みである「トータルパッケージングソリューションをよりいっそう付加価値の高いものに変えていく」ことを念頭に、これまでの延長線ではない、まったく新しいタイプの工場の計画を進めています。特に次世代工場の先駆けとなる山形新工場に関しては、ごみを出さない、自然由来のエネルギーを使用するなど、若いメンバーが事業部の垣根を越え て侃々諤々、新しいコンセプトづくりに向けた議論を交わしています。

ノースカロライナ新工場の建設にあたっては、資金調達の一部に株式会社日本政策投資銀行(DBJ)の「環境格付」融資を利用しました。ESG評価への取り組みや、「ラベル to ラベル」「ラベル to ボトル」に代表される循環型社会の実現に向けたものづくりが「環境への配慮に対する取り組みが先進的」という評価に結び付きました。これからはより戦略的に活用していくためにも、環境保全活動に進んで取り組んでいきます。

パートナー、お客様、競合各社と共に市場の再構築と拡大を

ロシアのウクライナ侵攻後、2022年3月と4月に拠点のあるポーランドに出張しました。どのような影響があるのか、欧州の状況を自分の肌で知っておきたいという思いがあったのですが、想像以上にビジネスはしっかり動き続けており、私たちの“強さ”をあらためて実感しました。

コロナ禍を含めてこれまで経験したことのないような事態が矢継ぎ早に発生し、サプライチェーンが大きく乱れ、材料不足・材料高が続いています。そうした中、フジシールグループがエッセンシャルビジネスの担い手として供給責任を果たせているのは、私たちを最優先してくださっているパートナーの皆様のおかげであり、諸先輩方が長い年月をかけて築き上げてきたその信頼関係を誇りに思います。また、私たちはお客様とも対等なパートナーでありたいと考えているため、価格改定をお願いしているのですが、それを受け入れていただいていることもビジネスの継続につながっています。

現在は、パートナーやお客様だけでなく、競合各社との関係づくりにも注力しています。例えば、フジシールグループのコア事業であるシュリンクラベル事業については、競合各社と一緒に成長することで市場を再構築し、拡大させていきたいと考えています。そこで、米州で市場への投入が始まっているRecShrinkTMについては、情報をクローズドにするのではなくオープンにしています。

客観性・透明性を保ち、次代を担う人財を育てていく

当社はいち早く「指名委員会等設置会社」に移行するなど、コーポレート・ガバナンスに関して先進的な企業だという声をいただいています。取締役会も5名中3名が社外取締役、2名が社内取締役という構成で「珍しいですね」と言われるのですが、客観性・透明性の確保は、私たちにとってごく当たり前のことです。取締役会は毎回、本当に緊張します。一つ一つの議題について社外取締役の皆様がさまざまな視点から意見を言われ、私たちはそのすべてにきちんとお答えしなければなりませんから。事前に根回しが終わっていて当日はスムーズに流れるもの、という話もよく耳にしますが、フジシールグループの場合はありがたいことに常に真剣な議論の場となっていますし、それが本来の姿ではないでしょうか。 

取締役会は近い将来、英語で行われることになるかもしれません。人口で考えると、今後伸びるのはアセアンです。そして、ビジネスに関わるさまざまな規制やガイドラインは欧州中心で決められます。「伸びる市場」と「ルールをつくる市場」、この二つが非常に大事になってくるため、そうしたリージョンの中心となる人財を幹部に迎えて積極的に意見を聞いていかなければ、と思っています。特に欧州の情報をいかに早く察知し、手を打つかということがビジネスの勝敗のカギを握るため、戦略的な人財育成が必要です。

ダイバーシティに関しては昨今、さらに一歩踏み込んだインクルージョン(=個々の違いを認め合い生かすこと)が大切だと言われています。「グローバルで展開しているので、お互いの “いいとこ取り”を…」と述べたことにもつながるのですが、ある時は米州が先生に、ある時は日本が先生に、という具合に、各リージョンのメンバーがお互いに学び合う形でさまざまなプロジェクトを進めていくことができれば、フジシールグループのダイバーシティ&インクルージョンはより向上しますし、今がそういったことにチャレンジできる絶好の時期だと思っています。

ステークホルダーの期待に応える成長と掲げたわたしたちのビジョンの実践に向けて

思い切った改革を進めていく中で、短期的に見ると業績に結びつかない部分も出てくると思います。ただ、改革は次の10年、100年に向けた手術のようなものです。そのことを理解していただけるステークホルダーの皆様の期待にお応えできるよう、中長期を見据えてしっかり成長していける組織を目指したいと思います。

昨年、私たちは10年ぶりにビジョンを刷新し、「人と環境にやさしい価値を届ける」としました。その実践例として、創業125周年の今年、「エコバッグプロジェクト」を立ち上げました。これは、製造プロセスや市場で廃棄されたラベルをリサイクルすることでエコバッグを作製する、という資源循環の取り組みの一つです。パッケージ業界のリーディングカンパニーとして、これからも持続可能な社会の実現に貢献し続けていく。そんな決意の表れとして捉えていただければ幸いです。