トップメッセージ

「変化とともに変化する」を原点に、
価値あるパッケージを世界中へ。

取締役 代表執行役社長 CEO

ゆるぎない経営理念とあらゆる変化に対応する行動力

10年ほど前、社内の体制を刷新した際に、「包んで価値を日々新たなこころで創造します」という経営理念についても刷新したほうが良いのではないか、という議論が持ち上がりました。さまざまな案を検討したのですが、お客さまをはじめ流通や消費者の間で、多様な価値をもたらすパッケージを提供し続けるという使命に変わりはなく、「やはりこの経営理念がもっとも的確にフジシールグループのことを表してくれている」という結論に至りました。

では、多様な価値とは何かというと、第一に、品質や安全性を確保することです。たとえば、シュリンクラベルは光を遮断することで中身の劣化を防ぎます。また、製品の魅力を表現し、そこに込められた大切な想いを伝える優れた加飾も、私たちがお届けする重要な価値のひとつです。

そうした揺るぎない経営理念や使命の一方で、「変化とともに変化する」ことを企業活動の原点としています。中身の変化、流通の変化、店頭の変化。市場や社会のあらゆる変化を素直に捉え、いち早く対応する力は、フジシールグループの強みとなっています。

“プラス1" の成長戦略で一人ひとりの創造力をアップ

「2018-2020年度フジシールグループ中期経営計画」では、“プラス1"を成長戦略のキーワードとしています。企業規模が大きくなるに従って、フジシールグループの歴史を知らない若い世代が増え、従業員数も海外のほうが多くなりました。そこで非常に悩んだのが、「日々新たなこころで創造します」という経営理念をどのように浸透させるか、ということです。たとえ毎日のように伝えたとしても、それが一体どういうことなのか、ピンと来ない人もいる。理解できない経営理念は掛け軸のようなものですから、それなら誰もが分かりやすい表現にしようということで、“プラス1"= 何かひとつ創造しよう、というキーワードが生まれました。これなら海外で働く人々にも「そういうことか!」と納得してもらえます。

さらに、一人ひとりが「これは“プラス1"になっているだろうか」と自分の仕事に引き寄せて考えられるよう、「4事業」「4地域」「4カテゴリー」のそれぞれに対してどのようなことが“プラス1"になるのかを明示しました。

5つの「本当の力」を身につけ次の成長へとつなげていく

成長に向けた5つの基盤として、「ものづくり力・開発力・人財力・財務力・リスクマネンジメント力」を掲げています。さまざまな予期せぬことが起こる中、基礎体力に加えて、どのような力が必要なのか。たとえば、財務力。何でも自社で行う自前主義から、より特化した他社へある工程は委託するなどして、持たない方が経営としては良い場合もあるはずです。従来のやり方を踏襲する一方で、仮説を立てて新たな計算をしていくことが「本当の財務力」なのだと思います。人財力も同様で、これまでの事業をしっかり守っていくこと、とにかくやってみようと新たな領域にチャレンジすること、その両方を兼ね備えていることが「本当の人財力」です。

中期経営計画の最終年となる2020年度については、“プラス1"の成長戦略と、この5つの基盤力をしっかりと見える形にし、次の中期経営計画につなげていきたいと考えています。

長年にわたる環境への取り組み 今後は積極的に情報発信を

2019年度で大きなインパクトとなったのが、世界中で注視された海洋プラスチック問題です。フジシールグループでは、役目を終えたパッケージがより効率的に再利用されるためにどうすればよいのかなど、時代に先駆けて研究開発を行い、長年にわたって技術とノウハウを蓄積してきました。今では当たり前となった、分別収集のしやすいミシン目付きのシュリンクラベル。材料の一部に植物由来素材を使用することでCO2削減に寄与するバイオマスのラベル。さらに20㎛という薄さの限界に挑戦し使用量削減を実現するなど、お客さまの声の一つひとつに耳を傾けながら環境に貢献するパッケージを次々と生み出しており、それらは世界中で使用されています。

社会的責任に対して厳しい目を持つお客さまが選び続けてくださることは、フジシールグループもまた社会的責任を果たし続けている企業であることの証明にほかなりません。そんな私たちにとって、サステナブルな社会への貢献や事業を通じたESGの取り組みはごく当然のことですが、プラスチック製品への固定化したイメージが先行する今、私たちが届けるパッケージやサービスの価値をもっと発信していかなければ、と強く感じた1年となりました。

ここで働くすべての人々が誇りを持ち続け仕事を通して成長するために

情報発信に向けた取り組みのひとつがこの統合報告書であり、お客さま、取引先様、地域社会、株主様といったさまざまなステークホルダーの中でもとくに意識しているのが、従業員とその家族です。私たちが提供しているパッケージは、主役である中身を引き立たせる、いわば黒子です。そういった意味で、何十年も「こんなパッケージを作っています」というPRをほとんど行っていませんでした。しかし、従業員一人ひとりが自分の仕事に誇りを持って働き続けるためには、黒子としての存在意義だけでは不十分ではないかと、感じるようになりました。お客さまに接する営業から日々工場で活躍するメンバーまで、フジシールグループで働くすべての人々に、そしてその家族に「世の中の役に立つ、価値あるものを作り出している」ということをもっと分かってほしい。それは、ESG重視の経営を進める上で大切にしている想いであり、挑戦しがいのある課題でもあります。

さらに、フジシールグループでのさまざまな経験を通して成長してほしい、というのが私の願いです。国内や海外の工場で活躍するメンバーがお互いに行き来し技術を高めあったり、身につけた知識を新たな職場や地域で活かしたり。しっかり雇用をし、成長や挑戦の機会を提供することは、私たちが社会に果たすべき重要な役割のひとつだと考えています。

リスク管理のさらなる徹底 ダイバーシティを原動力に

今回新たに策定したリスクマップで、最重要事項としたのが「顧客情報流出」です。蓄積された豊富な情報は私たちにとって大きな強みであり、それらを効率よく活用することがお客さまにご満足いただける提案や信頼につながるのですが、その一方で流出というリスクをはらんでいることも事実です。そこで、どのようなリスク管理を行い、どのように徹底していくべきか、プロジェクトチームを立ち上げ、外部の専門家とともに1年間議論を続けてきました。現在は次の世代が、自分たちにふさわしい新たなリスクマップを作り始めています。

この取り組みはグローバル人事が主体となって進めています。新しいアイデアというのは、多様な価値観や異なるバックグラウンドを持つ人々が集まってワイワイガヤガヤいろいろな話しをすることで生まれるものです。だから、私は「ダイバーシティ」という言葉が一番好きなのですが、それこそが変化に対応していくための原動力になると確信しています。