ガバナンス

コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンス体制

フジシールグループは、2004年6月と、21年も前に、いち早く「指名委員会等設置会社」(当時の委員会等設置会社)を採用しました。この会社形態は、2003年4月施行の商法改正により、いわゆるモニタリング・モデルを参考にしつつ導入されたものであり、「経営の監督」と「業務執行」が分離された、経営の透明性が高い機関設計とされています。現在でも、この制度を選択する国内上場企業は2025年5月2日現在、97社のみです。

指名委員会は、グループの適切な経営体制の構築に資することを目的として、取締役候補者・執行役の選解任について、選任基準等に照らして、検討・決定しています。また、グループ経営の充実・次世代人財の育成の観点から、グループ会社役員の指名についても審議・提案しています。

報酬委員会は、グループの経営の透明性の確保に資することを目的として、報酬に関する基本方針等に基づき、取締役・執行役に加え、グループ経営の充実および次世代人財の育成の観点から、グループ会社役員の報酬についても審議・決定しています。また、「FSG.30」の達成を強く動機づける報酬とすべく、2024年度には、報酬制度における公正性と透明性を高める観点で検討を重ね、報酬によるインセンティブ効果等も審議・検討を行った上で、報酬体系やその水準の見直しを行いました。

指名委員会と報酬委員会は、社内取締役1名と社外取締役3名の計4名で構成されています。

監査委員会は、グループの業務の適法、妥当かつ効率的な運営、すなわち年度方針および中長期の経営方針に沿った運営に資することを目的として設置されています。監査委員会は、社外取締役3名で構成されています。

フジシールグループ:コーポレート・ガバナンス体制

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取締役会の構成

取締役会は、独立社外取締役3名を含む取締役6名で構成されており(2023年6月開催の株主総会以降)、その多様性にも配慮しています。社内取締役は、経営戦略をはじめとした経営全般、グループ事業会社の責任者、海外事業の運営経験等、多様な経験を有しています。
また、社外取締役はそれぞれ、弁護士、公認会計士、技術開発分野を中心とした安全防災・ものづくりの責任者や上場企業経営者として、豊富な見識を持っています。取締役6名のうち、女性は1名です。国籍は日本のみですが、海外におけるビジネス経験等をはじめ、幅広い分野において豊富な知識・経験・能力を有した取締役から構成されています。
また2025年度には、取締役員数を現在の事業展開・事業規模に見合った適正規模に保つため、現行定款第17条(取締役の員数)に定める取締役の員数の上限を15名以内から10名以内に減員するという変更を行いました。こうしたガバナンス体制の不断の見直しを通じて、当社グループのコーポレート・ガバナンスを強化していきます。

取締役会の実効性評価

当社では、取締役全員に対して「取締役会の実効性評価」に関するアンケート調査を毎年度実施するとともに、取締役会はその調査結果および今後の課題について審議を行ってきました。
2023年4月および2024年4月に実施した調査・審議では、2022年8月に改訂された「価値協創ガイダンス2.0」を参照した上で、その「ガバナンス」に係るガイダンス8項目をテーマとして選定し、現状に対する評価と今後の課題について、意見を集約しました。具体的には、①取締役会と経営陣の役割・機能分担、②経営課題解決にふさわしい取締役会の持続性、③社長、経営陣のスキル及び多様性、④社外役員のスキル及び多様性、⑤戦略的意思決定の監督・評価、⑥利益分配及び再投資の方針、⑦役員報酬制度の設計と結果、⑧取締役会の実効性評価のプロセスと経営課題の、各項目について、当社取締役会自らの取り組みと評価を振り返り、課題を抽出・議論しています。
2024年度は、特に取締役の実効性評価に関するアンケート調査は実施せず、前回までの実効性評価結果を踏まえ、自らの課題に対して個別具体的な改善活動に取り組んでいます。

役員報酬

当社は、当社グループの経営の透明性の確保に資することを目的に、報酬委員会を設置しています。
報酬委員会は、透明性と独立性を保つため、社外取締役3名と社内取締役1名の4名体制により構成しています。
報酬委員会は、主に、取締役及び執行役の個人別の報酬等に係る決定に関する方針、取締役及び執行役の個人別の報酬等の内容、及び執行役の業績連動報酬の決定に係る全社業績目標及び各執行役の個人別業績目標の評価の決定を行っています。
報酬委員会は、取締役及び執行役が受ける個人別の報酬内容の決定に関する方針を以下のとおり定めています。

(a)報酬に関する基本方針等

当社の取締役及び執行役の報酬は、当社グループの企業理念に沿った持続的な企業価値の向上を目的として、当社グループのスローガンに合致した職務の遂行を促し、グループビジョン及び経営計画「FSG.30」の達成を強く動機付けるものとする。

  • 1)企業理念に賛同した多様で優秀な人財(人材)が力を発揮し、報奨することのできる報酬制度であること
  • 2)持続的な成長にむけた経営戦略に基づく業績目標達成を促す報酬制度であること
  • 3)企業価値の持続的向上を促し、株主の皆様と利益を共有する報酬制度であること
  • 4)報酬制度の決定プロセスは客観的で透明性の高いものであること
(b)報酬制度の概要
1)手続
取締役及び執行役の報酬等の方針、報酬体系、業績連動の仕組みは、社外取締役が過半数を占める報酬委員会において審議決定いたします。
2)報酬の構成
社外取締役を含む取締役は固定報酬である「基本報酬」のみで構成され、執行役は「基本報酬」及び変動報酬である短期インセンティブとしての「業績連動報酬」及び中長期インセンティブとしての「譲渡制限付株式報酬」により構成されております。
3)基本報酬
基本報酬は、各執行役の業務内容、職責の重要性、職歴等を総合的に勘案し、当社の配当業績及び経営環を踏まえて同委員会が審議の上、個別に決定します。
4)業績連動報酬
業績連動報酬は、経営計画の実現に向けた短期インセンティブの提供を目的として、各執行役が多様な能力を発揮することを促し、単年度で達成すべき目標値に対する達成度に基づき、同委員会が適切に設定した割合により支給されます。報酬総額に占める比率は0%~30%程度の範囲で変動いたします。算定項目には、単年度の連結売上高、営業利益率や、経営戦略上重要な財務指標のほか、環境指標や人財育成などの非財務指標も含まれます。
5)譲渡制限付株式報酬
譲渡制限付株式報酬は、株主の皆様と経済的利害を一致させ、当社グループの企業価値を中長期的に向上させることを目的として、執行役に対するインセンティブとして支給いたします。毎年一定の時期に付与され、付与数は職務内容、職責の重要性、株価水準などを総合的に勘案し、委員会の審議を経て決定されます。
報酬の考え方

リスクマネジメント

FSGは、業務上発生し得る各種リスクに対する基本方針および管理体制について、「グループリスク管理規程」を制定しています。同規程では、防災体制、防犯・警備体制のほか、緊急事態・事故・事件発生時の危機管理体制として「グループリスク対策本部」「リージョンリスク対策本部」などの組織・役割を定めています。

平時のリスク管理

平時においては、定期的に潜在リスクを把握し、経営への影響と発生可能性をリスクマップ(リージョン別およびグループ全体)にまとめた上で、これに対応する体制を整備することを、「リスク管理の基本フレーム」としています。毎年、リスクマップを起点としたリスク認識を共有するとともに、これらリスク事象に対する対応(回避/移転/低減/受容など)の検討・取組計画の実行を継続実施することで、グループとしてのリスク対応力の向上を図っています。

有事(インシデント発生時)のリスク管理

一方で、有事(インシデント発生時)には、グループとして迅速かつ適切に対応ができるよう、必要に応じてリージョンおよびグループでリスク対策本部を設置し、対処することとしています。
FSGでは、万が一リスク事象・インシデントが発生した場合に、そのリスクの影響度や重要度に応じて、いち早く経営陣に報告するため、グループ全体の緊急連絡網を整備しています。その連絡ツールとしては現在、ビジネスチャットを活用しており、国内外どのグループ会社でインシデントが発生しても、また経営陣がどこにいても、速やかに情報とリスク認識を共有するとともに、迅速な対応・指示をすることが可能となりました。

コンプライアンス

「フジシールグループ(FSG)倫理綱領」

FSGは、グローバル企業の一つとして、事業活動の大前提であるコンプライアンスを経営の最重要課題と位置付け、「FSG倫理綱領」を制定・公表しています。FSG倫理綱領は、FSGの取締役、執行役、役員および従業員の一人ひとりが企業倫理の観点から準拠すべき普遍的価値を「倫理規範」として定め、倫理規範を誠実に実践するための行動基準を「行動規範」として制定したものです。

グループコンプライアンス管理体制

グループ全体のコンプライアンス経営の推進および支援を目的として、FSIに「グループコンプライアンス委員会」が設置されています。
このグループコンプライアンス委員会は、コンプライアンスに関する組織および体制の検討、決定や、FSG倫理綱領の改廃に関する審議、コンプライアンスに関するFSG全体の取組計画検討、決定、実施のモニタリングなどをはじめとするコンプライアンスに関わる重要事項の取締役会への報告と審議依頼を行います。具体的には、「グループ・コンプライアンス・スローガン」を定め、毎年のテーマと取組事項を審議・検討するとともに、コンプライアンス上の問題事案などのモニタリングを行っています。
また、各リージョンにおいても、それぞれコンプライアンス委員会を設置し、リージョン内におけるコンプライアンス経営を推進しています。

FSG倫理綱領が目指す価値観の浸透のために

FSGは、グループの役員・従業員全員に「コンプライアンスカード」を配付し、教育を行っています。2024年度には特に、FSG倫理綱領の内容のダイジェスト版動画をグループ会社がある各国語(11カ国語)で作成し、eラーニングシステムと連携させるとともに、管理職層などに対して、倫理的行動、DE&I、ハラスメント、贈収賄および汚職防止に関する研修を実施しました。
コンプライアンスカードの配付や研修・セミナーの実施に加え、ファミリーフェスティバルや創立記念行事などを通じた啓発活動や、職場での啓発ポスターの掲示、社内報におけるコンプライアンス解説掲載などを継続的に行っています。
ファミリーフェスティバルでは、経営トップ自ら、コンプライアンスカードに書かれている「その判断(行動)は、あなたの家族(大切な人)に説明できますか?」という言葉を、毎年改めて紹介しています。これは家族に対して説明できる、また家族にサポートしてもらえるようなオープンな経営を続けることが重要だと考えているからです。

相談ホットライン

人権侵害・ハラスメント・贈収賄などの不正行為その他コンプライアンスに関する問題を早期に発見し、適切かつ迅速に対応するために、疑義ある行為などについて直接通報できる制度(相談ホットライン)を設けています。相談・通報の窓口として、社内(グループ内部監査室を含む)のみならず、社外の弁護士事務所および外部専門会社にも通報可能です。
相談ホットラインは、秘密保持の徹底と通報者の不利益な取り扱いを禁止し、匿名でも利用することができます。また、その通報状況については、グループコンプライアンス委員会と取締役会・監査委員会で定期的に報告して、グループのコンプライアンスの向上・リスク管理に役立てています。2024年度には特に、各リージョンにおける内部通報制度の運営状況・運用実態についても調査を行い、グループコンプライアンス委員会で報告・審議を行いました。
グループ内で発生する問題をいち早く発見・把握し、適時適切な対処を行うために、今後も内部通報制度の充実・実効性確保に取り組んでいきます。

ファミリーフェスティバル(創立記念行事)

コーポレート・ガバナンスは経営層だけでなく社員一人ひとりへの浸透が大切と考え、社員が経営理念や基本方針を理解し、適切な行動ができるように、さまざまな機会に啓蒙を行っています。
その一つとしてフジシールグループでは創立記念行事に合わせ、国内・海外事業所ごとに、社員とその家族が参加する「ファミリーフェスティバル」を開催しています。
この「ファミリーフェスティバル」の前身は、1985年の「フジシール従業員持株会」創設とともにスタートしたパーティーです。これはただ懇親を深めるだけでなく、家族の方にも会社の考えや歴史、商品、職場、仲間を知っていただく機会としています。

また、従業員が携行するコンプライアンスカードにも「その判断(行動)は、あなたの家族(大切な人)に説明できますか?」の一文を入れています。これは家族に対して説明できる、また家族にサポートしてもらえるようなオープンな経営を続けることが重要だと考えているからです。

ファミリーフェスティバルの様子
2025年 日本(SxSセンター)
2025年 イタリア
2025年5月 ベトナム