取締役対談

COO就任、取締役就任にあたって
岡﨑
入社以来、新工場の立上げ、経営企画、機械事業と欧州リージョンの執行役など幅広い仕事に携わり、ステークホルダーの皆様と対話を重ねる中で、フジシールグループが作り上げた製品やサービスの重要性を認識してきました。COOに就任した今、改めて、パッケージングを通じて一人でも多くの人が笑顔で安心して暮らせるよう努めていかなければならない、と強く思っています。また、行動指針に「変化とともに変化する」とあるように、広範囲にアンテナを張って世の中の変化をキャッチし、今まで以上にスピード感と中長期目線を持って新たな価値を生み出していきたいと考えています。
梅田
私は取締役の話をいただいた時に、これまでの取締役がどうだったのかを振り返ってみたのですが、まさに「変化とともに変化する」という気持ちで取り組んでいた方々だったなと思いました。変化するためにはチャレンジが必要で、私も、失敗も成功も含めていろんな経験をさせてもらいました。ただ、今はどうしてもリスクを先に考えてしまうため、かつてのチャレンジングな風土が薄れてきているように感じます。リスクを恐れず勇気を持って一歩を踏み出す、という行動を自ら示し、企業価値を高めていく。それが、取締役としての私の役割だと思っています。
新体制での会議体について
岡﨑
取締役会においてもダイバーシティは非常に重要です。そこでメンバーを固定化せず、今回は社内・社外で1名ずつ交代することになりました。梅田さんを含めた新たな体制で、忌憚なく活発にディスカッションしていきたいと思っています。会議の際は、いかにスピード感を持って企業価値を高めていくか、ということに焦点を当てた上で、適切なリスクを取りながら事業運営やポートフォリオ拡大を推進すること、成長ストーリーの解像度を上げていくよう後押しをすることが私の役割だと考えています。また、足りていないアジェンダはないのかを常に意識し、あればその議案を私から挙げていくよう心掛けています。
梅田
四半期ごとに行う取締役会・執行役会議に関しては、IR担当者が参加するようになって変わってきたと感じています。株主や投資家の方々の意見を単に共有するだけでなく、議論に落とし込み、何を変えていくのか、何を続けていくのか、戦略の判断材料の一つとしています。フジシールグループは外からこんなふうに見えているんだ、という新たな気づきは重要ですね。
岡﨑
例えば、収益性の改善について、会社としてだけでなく、外部の期待もそこにあると理解することで、しっかり取り組まなければならないということが肌感覚で分かるようになりました。これは大きな変化だと思います。
マトリクス経営と新経営計画「FSG.30」
梅田
新経営計画「FSG.30」では、事業執行役とリージョン執行役の打ち出す数字が、細かい部分で合っていないのですが、これこそがマトリクス経営の良いところだと思っています。やはり、同じ数字を追いかけてしまっては成長しませんから。リージョンがある程度数字に責任を持って目標達成を目指し、事業がそこにプラスアルファをしていく、という形が理想的だと考えています。
岡﨑
実際に各事業の収益性が確実に上がりましたし、戦略もより明確になって実行のスピードも早くなってきているので、私もマトリクス経営というのは有効な体制だと感じます。一方で、営業が自ら仮説を立てて幅広い提案をするということが強みの一つでもあるので、事業軸と顧客軸のバランスの取り方が難しくなってくる局面がこれから出てくるのではないかという課題も感じています。それぞれのパワーを最大化するためにどういったセットアップが必要なのか、COOとしてしっかり考えていかなければなりません。
梅田
売上目標3,500億円については、岡﨑さんはどう見ていますか。私は、既存4事業だけで考えると高い目標かもしれませんが、CMO事業、Deep IS事業、aPT事業といった新事業を推進することができれば、実現可能な数字だと思っています。
岡﨑
チャレンジングだけど無理ではない、絶妙なところですよね。規模だけを追うわけではないですが、3,500億円も一つの通過点です。フジシールならではのソリューションを提供し続けていくことで、その先にもっと成長していく我々の姿がある。そう想像すると非常にワクワクします。
フジシールグループの強み
梅田
現地調達・現地生産でグローバル展開されているお客様のニーズに応えていること。そして、現地マネジメントを行っていること。特に後者は一番の強みと言ってもよいのではないかと思います。法律も含めたルールや文化などを深く理解している現地の人財マネジメントをすることで、さまざまな局面において的確な判断ができる。“現地化”がうまくいっていることが、成長のカギだと感じます。
岡﨑
そのとおりだと思います。また、各リージョンに多様な業界のお客様がいらっしゃるので、それぞれのニーズやチャレンジに応じたソリューションを用意しておかなければなりません。そういう意味では、ラベルやパッケージだけでなく機械も含めたトータルソリューションをお届けできるという点も大きな強みです。
梅田
新たな地域に進出する際に、パッケージから入ると相当な投資が必要でリスクも高い。まずは機械を使っていただいて、そこから得たマーケット情報をもとに、パッケージで出ていくチャンスを見極める。そうした戦略を立てられる点でも、機械を持っているというのはかなり有利だと思います。
従業員への想い、社会への想い
岡﨑
梅田さんからチャレンジがしにくくなっている、という指摘がありましたが、「とにかく1回やってみる」という企業風土づくりに注力していきたいと考えています。なお、今回、従業員満足度調査を実施したのですが、もっとこんなことをしていかなくてはいけない、こうしたことをやっていきたいという前向きな意見が多く上がってきました。一人ひとりが1%でもやる気をプラスしていけば、最終的にはそれが大きなパワーになる。そんな可能性を感じることができました。
梅田
大切なのは、上がったさまざまな意見に対して、会社側が責任を持って答えていくことです。その積み重ねの先に、DE&Iという大きな視点での取り組みがある、と思っています。
岡﨑
社会に対しては「パッケージングを通じ、すべての人が笑顔で安心して暮らせる循環型社会・持続的社会の実現に貢献します」というミッションを体現していくことが私たちの最重要課題であり、ビジネスの機会もそこから生まれると考えています。
梅田
最近、我々だけでできることは結構限られているな、と実感しています。パートナー企業を含めた業界全体でサステナブルな社会の実現に貢献できるパッケージづくりに取り組み、お客様、そして消費者の皆様にお届けしていく。それがフジシールグループの果たす役割だと思っています。

DE&I:Diversity(多様性),Equity(公平/公正性)&Inclusion(包摂性)。多様な人が働く組織の中で、それぞれの人に合った対応をすることで、それぞれがいきいきと働き、成果を出し続けるための考え方