機械事業
好調な米州、アセアンは付加価値が鍵に
近年の概況を地域別に見ていくと、まず日本に関しては、主力である飲料向けのシュリンクラベル高速機がほぼ浸透し、次の成長への種まきが必須です。一方、シュリンクラベルへのシフトが継続している米州は好調を維持しており、この傾向は今後しばらく続くと考えています。欧州では2030年から本格的に「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」の適用が始まるのですが、現段階では詳細が決まっていないこともあって、今すぐ必要でないものに関しては投資をやや控えるというスローな動きになっています。アセアンについては、地場の企業の参入により価格競争が激化している中で、当社は長期的な視点でお客様に選んでいただけるよう、付加価値の高い機械やサービスの提供に取り組んでいます。
環境配慮と省力化のニーズに応える
グローバル全体のトレンドとしては大きく二つあり、その一つが環境配慮型製品のニーズの高まりです。当社グループでも人と環境にやさしい機械の開発を強化しており、従来型よりエネルギー消費量や水使用量などを大幅に削減できる新型シュリンクトンネルを欧州でいち早く開発しました。そしてもう一つが、省人化に関するニーズの高まりです。特に欧米ではオペレーターの確保が年々難しくなっており、たとえ確保してもハイスキル人財が少ないという問題に直面しています。そこで、言語や経験を問わず、誰もが簡単に操作できる機械の開発を進めています。
新たなビジネスとしては、医薬市場においてラインエンジニアリング事業に取り組んでおり、同様に注力している医薬包装CMO※事業を通じて培った経験を生かし、どうすればオペレーションがしやすく、生産効率の高いラインを構築できるのか、ユーザー目線での提案を行っています。なお、イタリアではオートインジェクター(自己注射器)市場向けのロータリーラベラーが高い評価をいただいており、2025年の稼働に向けて新工場を建築中です。
※CMO:Contract Manufacturing Organizationの略で、製薬会社から医薬品の製造を受託・代行する企業や事業のこと
開発体制を強化し、さらなる成長を
新経営計画「FSG.30」では全社として「新市場・新事業の拡大」という事業戦略を掲げており、新たなニーズや新パッケージを具現化するために機械事業の役割はより重要になると考えています。また、データを活用した稼働率アップやサービスのブラッシュアップなど、前中期経営計画で積み残した課題と共に、しっかり取り組んでいきます。
また、マテリアリティにも関連するのですが、お客様の新製品や開発製品をスピード感を持って立ち上げていくためには、機械の開発サイクルを上げていく必要があります。包材事業と機械事業の連携やパートナー企業との協業によって開発体制を強化し、さらなる成長につなげていきたいと思います。