タックラベル事業
低迷していた欧米市場は回復基調へ
世界的なインフレによる消費減退や地域紛争の影響を受け、タックラベル業界の市況は欧米を中心に大きく低迷しました。この数年の中でも特に2023年度は非常に厳しいビジネス環境となったのですが、2024年度の後半からは欧米中心に回復基調を示す指標が出てきました。欧州では欧州議会において「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」が可決され、2025年より部分的に適用が始まります。パッケージ業界全体に大きな変化をもたらすこの規制をチャンスと捉え、ビジネス拡大に向けて、商品開発や顧客との関係づくり、パートナー企業との共創に積極的に取り組んでいきます。
収益性改善とQCD向上に注力
2023年度は市場の動きとしては厳しい1年でしたが、さまざまな施策に着手した1年でもありました。原材料費や燃料費などが高騰する中、単に価格改定をするのではなく、「プロダクトチェンジ」をキーワードに材料や生産方法を変えることで収益性を改善。また、不採算製品の削減やQCD(クオリティ、コスト、デリバリー)での競争優位性を高める取り組みにも注力しました。エッセンシャルビジネスに携わるお客様は平時・有事に関わらず安定供給を求められますが、近年、量の確保や価格だけでなく、品質や納期を重視される傾向にあります。そこで、顧客期待価値に応えるべくDX※にも取り組みながらバリューチェーンの改善を図り、受注増につなげることができました。その一方、大きな経営判断として、まだ私たちの強みを生かせていないアセアンでの事業を撤退しました。経営資源を日本、欧州、米州に集中させ収益力を高めるという狙いがあるのですが、あくまで一時的なものであり、事業環境を見極めて再進出をしたいと考えています。
※DX:Digital Transformationの略で、企業がAIやIoT等のデジタル技術を活用し、業務プロセスの改善や新たな製品やサービス、ビジネスモデルを創出すること
ワクワクが連鎖する職場づくり
新経営計画「FSG.30」では「特定の市場でNo.1になる」という事業戦略のもと、事業拡大を目指すと同時にアップサイクル可能でサステナブルなRecTackを上市しました。また、廃棄物削減に貢献するライナーレスラベルの開発など、環境配慮型製品にも引き続き力を入れていきます。
喫緊の課題は人的資本の充実と次世代リーダーの育成ですが、人事部門まかせにするのではなく、各事業・各地域が連携してチャレンジの場を広げ、従業員がワクワクできる機会を増やすことが重要です。作業負荷の軽減や生産効率の向上を図る「スマートワーク」の実現も含め、一人ひとりが活躍できる職場、お互いのワクワクに共感し、それが連鎖していくような職場づくりを目指します。