タックラベル事業

裾野の広い巨大な市場に変化を仕掛けて、
新たなステージへ。

執行役 タックラベル事業担当

京金 武司

ラベルは消費者が安心して商品を使用頂くために不可欠な存在です。ラベルの役割は従来の表示から、機能(加飾、開封、封かん)、近年はコミニュケーションツールと拡大してきました。他方で環境対応、ニューノーマル、eコマース、パーソナリゼーションとラベルに求められる役割は日々変化しています。ラベルが人と環境の双方向の信頼関係の土台として、使いやすさ(安心安全)、環境配慮、社会貢献できる役目を担い、価値を提供し続ける存在になっていきたい。そのためには商品開発が最重要であり、マーケットインとプロダクトアウトの両面から様々な技術と商品を創出し続けます。

自ら機会をつくり、与えていく。コロナ禍で得たさまざまな気づき。

2020年度を振り返るにあたってまず初めに、コロナ禍の中で生産と供給を継続できたことに関して、タックラベル事業に携わるすべての方々に感謝申し上げたいと思います。

この1年間は私にとって、非常に気づきの多い、中身の濃いものでした。それまでとは何が変わったかというと、ビジネスにおいては、私たちの製品に対するお客様や消費者の見方・価値観が、単にラベルというだけではないものへと少しずつ変化してきたと感じます。そして同時に、そこに将来のビジネスチャンスが潜んでいるとも感じています。

一方、私個人としては、意識や行動パターンが大きく変わっていきました。これまでは、毎日の通勤や毎月の海外出張など、いわば与えられた行動パターンの繰り返しでした。しかし、在宅ワークが多くなり、海外のメンバーとも直接顔を合わせてコミュニケーションをとることができない中で、これからは自ら新たな行動パターンをつくること、自ら機会を生み出し与えていくことが大切だと感じるようになりました。

ものづくりのモバイル化も視野に、より効果的な事業戦略を展開。

タックラベル事業の市場機会については、「環境問題」「パーソナリゼーション」「アフターコロナ」「働き方改革」がキーワードになると考えています。タックラベルはシュリンクラベルやパウチに比べて歴史が古く、ステッカーや付箋紙など、その技術は世界中で幅広い用途に使われています。ただ、一般化・定着化しているがゆえに大きな変化が起こりづらいのも事実。そうした中、この4つを切り口に変化を仕掛けていくことが、次のステージに行く大きなチャンスとなります。

その中でもとくに注力したいのは、「環境問題」です。タックラベルは表面基材・粘着剤・剥離紙の3つの異素材からつくられているのですが、たとえば、剥離紙をなくして単一素材にすることで、環境負荷を抑えることができます。

また、「パーソナリゼーション」では、拡大するeコマースへの対応強化を目指します。タックラベルは生産プロセスがフレキシブルで、極端に言えば24時間~48時間で出荷することもできるため、少量多品種・短納期が求められるeコマースに非常に適しているといえます。そうした特徴をさらに突き詰めて、今後は「ものづくりのモバイル化」の検討も進めていきたいと考えています。これは、お客様の敷地内で私たちのものづくりを展開するというもので、デリバリーもよりスピーディに行なうことができます。キッチンカーをイメージしていただくと、わかりやすいかもしれません。海外ではこの5~10年で、こうしたオンサイトプロダクションが増えています。

なお、現在は供給側からバリューチェーンを構築するSCM(Supply Chain Management)が主流ですが、今後は需要側からバリューチェーンを構築するDCM(Demand Chain Management)が主流になっていくと言われています。このDCMを次代のキーワードとして頭に入れながら、よりフレキシブルに動いていきたいと思います。

タックラベルの市場規模は約3兆円と巨大で、競合も多い中、どのような事業戦略を展開するかは、国や地域によって異なります。圧倒的な営業力を誇る日本ではお客様との関係性の継続が、競合が先行しているアメリカやヨーロッパではものづくり力や生産拠点のロケーションが、カギを握ると考えています。アセアンに関しては、タイ・インドネシア・ベトナムを中心にどう市場をつくっていくかが、大きなテーマとなっています。

検証プロセスの質とスピードをアドバンテージに。

私たちにとって最大の強みは商品開発力、その中でもとくに検証プロセスにあります。これは、フジシールグループの9つのマテリアリティでも「開発製品のスピード立上げ」という項目で取り上げられています。たとえば、フィルムをもっと薄く、というのは簡単です。肝心なのは、薄くできることではなく、そこまで薄くした時に生産工程にどんな影響が出るのか、ということです。通常、実機での検証は一番最後になるのですが、私たちは自社で機械をつくっているのでいち早く検証することができますし、技術的なポイントがどこにあるのかも的確に分かります。

新しいものを生み出す際に、アイデアから形にするプロセスの質とスピード。それは、長年にわたり積み重ねてきた知識、努力、パートナーとの関係性の賜物であり、どこにも負けていないと思います。そのパートナーがいずれもグローバルのトップメーカーであること、そして世界最高水準のラベラー「PAGOmat」を持っていることもまた、大きな強みとなっています。

タックラベル事業は基本的に地産地消で、お客様や市場があるところでビジネスを展開しています。また、医薬品だけをつくる工場、飲料だけをつくる工場という具合に明確に生産プロセスを分けることでQCD(Quality・Cost・Delivery)を高め、競合他社との差別化を図っています。さらに、これまでは別々にビジネス展開していた機械とラベルを、システムセールスという形でまとめて提供することで、お客様のものづくりを持続的に支えていきたいと考えています。

消費者やお客様のニーズにベストなものを届けるという使命。

フジシールグループでは「人と環境にやさしい価値を届ける」という新ビジョンのもと、「2025年・環境配慮型製品100%」を掲げており、私たちもその目標達成に向けて事業 を推進していきます。タックラベルは、フジシールグループの製品の中で唯一、紙を使います。そこでショートタームとしては、耐水性のある紙や半透明の紙など、紙基材の活用を進めていきます。さらに、再生材料やバイオマス系材料の活用に関しても、これまで以上に積極的に取り組んでいきます。ミッドタームでは、RecShrinkTMラベルと同じようにPETボトルにラベルをつけたままPETボトルとして再生する「ラベル to ボトル」の実現を、ロングタームでは、剥離紙をなくすライナーレスの実現を目指していきます。最終的にはごみとなる剥離紙をなくしてほしいというお客様のニーズは何十年も前からあったのですが、どの企業も形にすることができず、タックラベル業界にとっては積年の課題となっていました。このライナーレスへの挑戦は、自社で機械を持っていなければ到底できません。フジシールグループの総合力の証といえます。

最近は、ラベルレスボトルに貼る小面積のタックラベルへの需要も増えつつあります。ラベルレスボトルはもともと箱買いの多いeコマースで始まったのですが、今年、地域限定で店頭でも販売されました。訴求力を考えると、果たして消費者の方が手に取ってくださるのかどうか不安もありましたが、環境問題に対応しているということで、売れ行きは非常に好調だそうです。来年には全国展開が決まっています。

タックラベルであれ、シュリンクラベルであれ、消費者やお客様のニーズに対してベストなパッケージを提供することが私たちの使命です。また、それこそが「人と環境にやさしい価値を届ける」ことにつながっていくのだと思います。

新たな価値の創出に向けて、「人づくり」と「製品づくり」に尽力。

新中期経営計画の3年間で持続的成長をより確かなものにするためには、「人づくり」と「製品づくり」が不可欠です。人財を育て、開発力・技術力をさらに磨き、新たな価値を生み出していきたいと思います。

今後、挑戦したいのは、新しいラベラーの開発です。タックラベルの調整は非常に繊細で、現状ではオペレーターのスキルに大きく依存しています。自動運転のクルマのように、AI技術を活用することで誰もが使える次世代ラベラーをつくりたい。産学連携も視野に入れ、今、構想を練っているところです。