シュリンクラベル事業

環境対応と新しい機械。
2つの切り口で高い目標にチャレンジ。

執行役 シュリンクラベル事業担当

梅田 英明

近年、プラスチックスのごみ問題や環境対応ニーズの高まりからプラスチックパッケージはその対応への変化が求められています。 シュリンクラベルにおいてもお客様、パートナーと協同して環境対応ラベルを確立し、グローバルでの展開に注力していきます。 非常に使い勝手の良いパッケージであるシュリンクラベルに環境対応の技術を付加することでさらなる拡大を目指していきます。

危機感を持って迎えた2020年。従業員の力を再認識。

2019年、海洋プラスチックごみ問題が世界中でクローズアップされ、「シュリンクラベルのビジネスはなくなっていくのでは…」という危機感の中、2020年を迎えました。環境対策をさらに強化しなければ、と準備を進めていた矢先に、新型コロナウイルスの感染が拡大。流れが一変しました。地域ごとに状況はまったく異なりますが、主なお客様が食品や日用品など生活必需品メーカーのアメリカでは、ロックダウンなど厳しい規制の中で巣ごもり需要が高まった結果、売り上げが伸びました。

ありがたいことに、私たちのビジネスは日々の暮らしに欠かせないエッセンシャルなものだということで、コロナ禍でも工場を閉める必要がありませんでした。しかし、大変な状況であることには変わりなく、そんな中でものづくりを続けることができたのは、毎日工場に出勤して頑張って働いた従業員のおかげです。

また、同じように大変な状況の中、フィルムやインキなどの材料を切らすことなく供給し続けてくださったパートナーの皆様、たとえ納期がかかっても私たちに発注し続けてくださったお客様にも支えられました。

これまではちょっと見えにくかったフジシールグループの底力、そして、長年にわたり築き上げてきたお客様やパートナーとの信頼関係を再認識した1年となりました。

日本で、アメリカで、先手を打った環境への対応。

コロナ禍の中で製品を供給し続ける一方、環境対応製品の開発がこの1年で加速しました。日本ではシュリンクラベルの資源循環に向けてパートナー各社と進めている「ラベル to ラベル」のプロジェクトが形になり始め、アメリカではさらにその先を行く「ラベル to ボトル」を実現したRecShrinkTMラベルが上市されました。今後、コロナ禍が収束して再び環境問題に社会の注目が集まった時に、ビジネスとしても、循環型社会の推進に向けても、しっかり先手を打てている、という状態です。

なお、アメリカで開発したRecShrinkTMラベルは、ラベルとPETボトルを一緒に回収しPETボトルとして再生するという合理的なリサイクルが可能になるのですが、日本のリサイクルのルールには適合しません。それでも、環境や品質に厳しいグローバルのトップメーカー数社で採用が決まった、という情報をきっかけに日本のお客様が「当社でこんなふうに展開できないだろうか」といろんな可能性を考えてくださったり、逆に日本独自の「ラベル to ラベル」の取り組みに海外のお客様が興味を示してくださったりと、環境へのアプローチの違いが新たなビジネスチャンスにつながっています。

シュリンクラベルに使われる材料も、国や地域によってさまざまです。一つの技術を確立すれば世界共通で使えるというわけではなく、ローカライズが必要なのですが、そこはいち早くグローバル市場に進出したフジシールグループの得意とするところです。

シュリンクラベルのパイオニアとしてすべてをつくり上げてきた強さ。

シュリンクラベル事業の最大の強みは、業界のパイオニアだということです。50年前、材料も印刷技術も機械もニーズもない、ゼロのところからすべてを作り上げ、改善し続けてきました。ですから、もし今、フィルムメーカーの方が「こんなものをつくりました」と突然新しい材料を持ってこられたとしても、「こうすればお客様のところで使えるんじゃないか」ということを社内で検討し、製品化することができます。また、開発品であってもお客様に提案する時点ですでに一定のレベルに達しているので、評価のスピードも世の中に出すスピードも早い、という特徴があります。しかも、単に早いだけではありません。お客様の「創る・作る・売る(商品開発から商品が消費者の手にわたるまで)」を一貫してサポートできる点が、他社にはない強みとなっています。RecShrinkTMラベルが良い例ですが、材料や技術だけでみれば競合他社でも同じようなものをつくることは可能だと思います。それができていないのは、お客様のものづくりにまで入り込めているのが、フジシールグループだけだからです。

お客様のものづくりを支え続けるために忘れてはならないのが、パートナーの存在です。私は創業者の藤尾正明から直接指導を受けた最後の世代なのですが、「パートナーあってのフジシール。私たちだけでは何もできない」ということを叩き込まれました。まだ駆け出しの頃、パートナーのことを業者と言ってしまい、「何様だ」と顔を真っ赤にして怒られたことも(笑)。あれこれ考えを巡らせても結局そこに戻る、私の仕事の原点です。

従業員にも地球にもやさしいより良い作業環境とは。

新ビジョン「人と環境にやさしい価値」の「人」に関しては、お客様、パートナー、消費者など解釈はいろいろあると思います。ただ、私が最初に思い浮かべるのは、今回のコロナ禍で改めてその凄さ、底力を感じさせてくれた従業員です。まずは、その従業員にとってやさしい価値を届けたい。ではそれが何かというと、より良い作業環境ということに尽きます。

今、機械は技術の進歩でどんどんソフト化が進んでいます。マニュアルオペレーションが不要で、これまで人の手で行なっていた細かい調整をすべて機械が自動でやってくれます。そうした新しい機械はオペレーターにとっても非常に扱いやすく、作業に追われて汗だくになることもありません。当然、けがもしなくなります。さまざまな負担が減ることで、どうすれば生産プロセスや品質を改善できるのか、どうすれば環境にやさしく消費者にもやさしい製品になるのかを考える時間が生まれます。誰か一人の頭の中で考えるよりも、何千人もいる従業員が考えることで、必然的に答えが導き出されていくと思います。

新しい機械の導入と合わせて、作業環境の悪化の一因にもなっている溶剤の使用量削減に取り組んでいきます。具体的には、油性インキのグラビア印刷から水性インキのフレキソ印刷に切り換えることで溶剤の使用量を約50%削減し、将来的には脱溶剤を目指したいと考えています。グラビア印刷にはフジシールグループが培ってきたノウハウが詰まっているため葛藤もあるのですが、従業員にも地球にもやさしい作業環境づくりを積極的に進めていきます。

利益率15%の目標達成に向けて意義のある投資を。

シュリンクラベル事業はフジシールグループのコア事業ということもあって、人財も豊富ですし、技術も、ものづくりもしっかりしています。そこで新中期経営計画では利益にこだわろうということで、目標数値を15%としました。もともと計画していた戦略をすべて実現したとしても13%くらいまでしか行きません。そこに2%上乗せするためには二つのポイントがあります。

まず一つは、「ラベル to ラベル」や「ラベル to ボトル」といった環境対応の切り口です。とくに、今後「ラベル to ラベル」が実現すれば、他のラベルで環境対応できないところがシュリンクラベルに置き換えられて、日本の市場で売り上げがさらに伸びていくのではないかと期待しています。

もう一つは、老朽化した機械の入れ替えです。これまで、生産のキャパシティを増やすための増設は行なってきましたが、スクラップアンドビルドという企業文化がなく、機械の更新があまりされてきませんでした。当然、古い機械をメンテナンスしながら長く使い続けるメリットもあるのですが、先ほども触れたように、新しい機械にすれば生産性や安全性が上がり、人にも環境にもやさしくなります。当然投資は必要ですが、投資以上のリターンを見込むことができます。そして何より、新しい機械が現場に導入されると、従業員の目が輝き、モチベーションが上がります。

利益率15%は非常にハードルの高い目標ですが、ぜひチャレンジしていきたいと思います。