シュリンクラベル事業
各リージョンの努力によって収益が改善
フジシールグループのコア事業としてビジネスを成長させ、利益を出していくこと。それは、シュリンクラベルに携わる者の責務だと思っています。ただ、前中期経営計画では、地域紛争や燃料費・原材料費の高騰などの影響で、売上を伸ばす以前に収益改善を優先して取り組む必要がありました。厳しい状況の中、各工場のメンバーが同じ方向を向いて一生懸命改善に取り組み続けてくれたことで「作れば利益が出る」という体制に生まれ変わることができ、本当に感謝しています。
4つの地域の中でビジネス環境が最も特徴的だったのは、米州です。コロナ禍で唯一マーケットが成長したものの、反動でインフレが進み、急激に物が売れなくなりました。原材料費の高騰による利益圧迫に対処するため価格改定を実施した結果、収益がV字回復。マーケットの伸び率も高いため、成長しながら利益を上げて、得られた利益をさらなる成長のために投資していきます。
新たな地域への進出と開発の強化を図る
新経営計画「FSG.30」ではグループ全体の売上目標を3,500億円以上としています。その達成に向けた当事業の施策の一つが、新たな地域への進出です。2030年をめどに、南米あるいはインドといったポテンシャルの高いマーケットの開拓にチャレンジしていきます。そして、開発の推進と強化。特に日本には優秀な技術者が多く、その豊富な経験と技術力を、成長率の高い海外でも生かしてもらいたいと考えています。
もちろん、日本もまだまだ伸びしろがあります。シュリンクラベルが使われていない分野がたくさんあり、マーケットの規模も大きい。さらに昨年度、会社制から事業部制へと組織を再編したことで機動性が高まり、よりスピーディーな開発が可能な体制となりました。
変化をチャンスにビジネスを拡大
欧州では環境規制が進んでいますが、新たな動きや変化に対応した開発をタイムリーに行えばトップシェアを目指せる、と前向きに捉えています。例えば、「ラベル to ボトル」を実現し、米州のリサイクル協会(APR)の認定を受けたRecShrinkTM。プラスチックの循環利用に向けた仕組みづくりが加速する中、競合他社も追随して同じような製品を開発しており、いまや米州のマーケットでは主流になりつつあります。これは、私たちの方向性が正しかったこと、そして、地域の状況に合わせた開発さえできればビジネスは自動的に広がっていくことの証です。
事業の責任者としては今後、どれだけ人的資本投資をできるかが課題です。マネジメント層だけでなく、製造、開発、営業のメンバーをしっかり育て、「適材適所」を念頭に、優秀な人財が活躍できる環境づくりに尽力していきます。