ソフトパウチ事業

時代のニーズを先読みし、
開発力×発想力でさらなる事業拡大を。

執行役 ソフトパウチ事業担当

福田 真久

パウチは、様々な市場で従来のプラスチック容器に代わる新たな価値を提供できる一次包装袋です。当社はこれまでに、環境面や消費者へ新たな価値を届けるため「使いやすい、保管しやすい、捨てやすい」口栓付きパウチを創造してきました。これからも、我々の強みである「創造力」そして「機械との検証プロセス」を最大限に生かせるパートナーと技術を融合し、一次包装市場にイノベーションを起こしていきます。そしてグローバルのリーディングカンパニーとの信頼関係を元に、世界中のライフスタイルの多様化から生まれる一次包装の課題を解決し、社会に必要とされる事業へと成長をし続けます。

新たな市場が生まれた1年。環境問題を背景に変化した1年。

2020年度は、他の事業と同じように、ソフトパウチ事業もさまざまな側面でコロナ禍の影響を受けました。とくに日本では、学校が休みになったりイベントが中止になったりする中で、売上比率の高いゼリー飲料向けの製品が減少しました。その一方で、感染予防策としてハンドソープなど衛生関連製品の需要が高まり、売上も伸びました。また、2020年の半ばあたりからは、消毒用アルコールの需要が増加。そこにも迅速に対応することができました。消毒用に使うアルコールというのは非常に高濃度で、従来のフィルムの構成ではパウチにすることが不可能だったのですが、私たちは4~5年前から素材メーカー様と一緒に開発に取り組んでいたため、他社に先駆けて製品化することができました。

そういう意味では、それまでの市場が収縮した1年であると同時に、新たな市場が生まれた1年だったといえます。さらに、前年にクローズアップされた環境問題に関してさまざまな取り組みが本格的に始まった、変化の1年にもなりました。日用品メーカー様と一緒に開発したフジパウチ®はその代表例で、当社の従来の口栓付きパウチや本体容器に比べて大幅にプラスチックの使用量を削減することができます。また、やはり環境問題を背景に、パウチの大型化が進みました。詰め替えは1回だけというのがこれまでの主流でしたが、今は、複数回詰め替えが可能な大きなサイズのものが増えています。

容器からパウチへの置き換えもその国の文化に合わせて柔軟に。

SDGsが広く認知されてきたこともあり、ソフトパウチ事業を展開するにあたっても3R(Reduce・Reuse・Recycle)がより強く求められるようになってきたと感じますし、実際に3Rに関連した環境配慮型製品の需要は年々高まっています。パウチは従来の容器に比べるとプラスチックの使用量が削減でき、その上、軽いという利点もあるため、容器からパウチへの置き換えのニーズはさらに増えていくと予測しています。

ただし、日本に比べると欧米におけるソフトパウチ事業の市場規模はまだまだ小さい、というのが実情です。とくに口栓付きパウチに関しては、ベビーフードなど子ども向けの製品には多いのですが、日用品にはほとんど使われていません。そもそも詰め替えの文化がない、というのが大きな理由のひとつです。ヨーロッパでもスイスやドイツなど一部の国では少しずつ広がりつつありますが、イギリスやフランス、イタリアあたりではほぼありませんし、アメリカも同様です。そこで、詰め替えという切り口を変えて、口栓があることでパウチを容器本体として使えるようなパッケージ開発やソース類などの食品関係をターゲットにするなど、柔軟な発想で戦略を立てる必要があります。アセアンについては、日本の市場に近いこともあって、需要の増加を期待しています。

eコマース。介護。社会の動きに合わせて広がる可能性。

新たな市場機会として注力しているのは、コロナ禍でさらに勢いを増したeコマースです。受け取る方が不在の場合でもポストインできるように、外側が平らな紙の箱で中がパウチになっている製品を新たに開発しました。また、先述したようにパウチの大型化が進んでいますが、たとえばスーパーで買い物をした際に、他のものと一緒に持ち帰るのはなかなか大変です。しかし、自宅まで届けてくれるeコマースであれば、重さを気にする必要がありません。そのため、1.5ℓから3ℓ、5ℓへとさらに大容量にしていきたい、というお客様が増えています。

日本と同様に欧米でも社会の高齢化が加速する中、今後は介護もひとつの市場機会だと考えています。介護される側がどんどん増えて、介護する側がより人手不足になった場合、どちらにとっても使いやすいパッケージが求められるようになる。そこに、パウチのニーズがあるのではないかと思っています。今も当社では、高齢の方が飲んだ時に逆流しにくいようとろみをつけた経口補水液用のパウチをつくっていますが、食べることや飲むことが困難になった高齢の方にとってより摂取しやすく、味もちゃんと「おいしい」と感じられる新しい充填方法やパッケージの開発に取り組んでいきたいですね。

これまでも、これからも、最大の強みは開発力。

ソフトパウチ事業の強みは、主に次の四つです。まず一つが、品質の高さ。パウチは中身に直接触れるセンシティブなパッケージなので、安心安全に向けた品質の確保は非常に重要です。次に、使いやすさなど優れた機能を実現する製袋技術と、大量生産に向けてより良いオペレーションを可能にする生産システムの開発。これは、自社で機械を持っているということがアドバンテージとなっています。そして、パートナーとの信頼関係。フジシールグループは素材メーカーではないため、国内外の多くのパートナーと協力しながらものづくりを進めています。お互いの創造のぶつかり合いによって価値を高めていく。アライアンスを組みながらイノベーションをおこしていく。そこでプロダクトリーダーシップをしっかり発揮していくことが、私たちの役割だと考えています。

ここでソフトパウチ事業の歩みを少し紐解いていくと、事業がスタートしたのは今から約20年前、フジシールグループではもっとも歴史の浅い事業です。ただ、売上規模はシュリンクラベル事業に次いで2番目に大きく、短期間でなぜそこまで成長できたかいうと、私はやはり、強みにもあげた開発の力だと思っています。たとえば、口栓付きパウチで最初に参入したのは飲料だったのですが、私たちは後発でした。しかし、機械のイノベーションによってより早く効率的に生産できる仕組みをつくり、現在のポジションを獲得しました。次に参入したのは、日用品です。パウチはすでにあったものの、複数回詰め替えるという発想がまだない時代に、日本で初めて日用品向けの口栓付き製袋充填システムの製品をつくりました。

パウチで届ける「人と環境にやさしい価値」とは。

「環境へのやさしさ」に関しては、パウチは単にプラスチックの使用量を削減できるというだけではなく、バイオ材料や再生資源の活用、さらに廃棄物を建築資材として再利用するといったさまざまな取り組みを行なっています。パウチは単一素材ではなく、3~4種類の素材を貼り合わせてフィルムにしているためリサイクルが難しいのですが、回収したパウチを再資源化するモノマテリアルにも挑んでいます。また、従来よりもコンパクトなパッケージをつくることで、輸送の効率アップにも貢献しています。

 「人へのやさしさ」に関しては、たとえば、手の力が弱くなってきた方や手が不自由な方にも開封しやすいキャップの開発などに取り組んでいます。また、詰め替えやすいだけでなく、詰め替えが不要な付け替えにも対応しているフジパウチ®は、環境と人、どちらにもやさしいパッケージになっています。

現在は日用品だけですが、今後は食品や飲料など、より多様な分野に広げていきたいと思っています。

「アジリティ」をキーワードに第2のコア事業への成長を目指す。

新中期経営計画では、重要戦略のひとつとして「一次包装拡大~第2のコア事業へ」が掲げられ、全社的にソフトパウチ事業の今後の動向が注視されています。

私は、さらなる成長に向けたキーワードは、「アジリティ(機敏性)」だと思っています。コロナ禍で世の中が一気に変わった様子を目の当たりにして、営業、開発、生産などすべての局面でアジリティがなければただ取り残されるだけだ、ということを実感しました。これは、フジシールグループの行動指針「変化とともに変化する」にも通じていると思います。そして、投資。新たな生産拠点の建設などもありますが、やはり人への投資が大事だと思っています。とくに開発を担う人財については、社内での育成と合わせて、知識や経験が豊富な人財を積極的に採用していきたいと考えています。