偽造品対策の新アイデア 「デジタル指紋」を作り出すステルス個体識別技術とは?
偽造品対策の新アイデア「デジタル指紋」を作り出すステルス個体識別技術とは?

シリアルナンバーや2次元コードといった既存の技術では偽造品対策は困難になりつつあります。近年では「デジタル指紋」を作り出す「ステルス個体識別技術」により、偽造品対策を行う企業が増えています。本記事では既存の技術では偽造品対策が難しい理由を解説しながら、「ステルス個体識別技術」について紹介します。ぜひご覧ください。
01偽造品対策が既存の技術で難しい理由
対策のための識別コードも偽造されてしまうため
近年では模倣技術が向上しており、製品やパッケージだけでなく、偽造品対策のための識別コードまで偽造されてしまうケースもあります。識別コードが偽造されてしまうと、流通経路の確かさが歪められ、偽造品と正規品の判別を行うことが難しくなります。
目に見えるコードを使用し続ける限り偽造は避けられない
対策のための識別コードはシリアルナンバーや2次元コードなど様々な技術があります。
しかし、その技術が目に見える形のものである限り、その識別コード自体が偽造されるリスクは避けられません。結果として、偽造品を防ぐための対策が無効化されることで、「偽造品対策のための偽造品対策」のような「いたちごっこ」の状況に陥り、根本的な解決には至りません。
根本的な解決のためには「目に見えない識別技術」を使うこと
シリアルナンバーや2次元コードなどの目に見えるコードを使用し続ける偽造リスクを避けるためには、「目に見えない識別技術」を活用することが重要です。
目に見えるコードとは別の形で識別を行う技術を活用することで、仮に識別コードを複製されたとしても「目に見えない識別技術」により製品のトレーサビリティは担保されます。
例えば、以下のような識別技術があります。
02目視で判別できない「デジタル指紋」を作り出す技術とは

印刷のわずかなムラを識別する「ステルス個体識別技術」
パッケージを印刷する際に発生する印刷のムラは指紋のように1つとして同じものはなく、印刷技術によって模倣できません。「ステルス個体識別技術」はそうした印刷のわずかなムラを個体識別する技術です。
シリアルナンバーや2次元コードのような目に見える識別技術は使用せず、自然発生的に発現した印刷のムラを使用するため、目視では判別できず、模倣されることもありません。
「デジタル指紋」に識別情報を付与して個体管理を行う
個体識別を行う上では、まずパッケージの任意の箇所をカメラで撮像します。
撮像した画像はクラウドシステムによるアルゴリズムにより、印刷の微細な違いを検知するため、パッケージごとの個体識別を行うことが可能になります。突合を行う際は、パッケージを撮像したデータと出荷時に撮像したデータを照合することで真贋判定を行います。
特殊加工は不要で、パッケージ印刷をそのまま活用可能
印刷物に自然発生的に発現した印刷のムラを識別に使用するため、識別に特殊加工や印刷を行う必要はありません。生産した製品パッケージの印刷のムラが「デジタル指紋」となり、個体識別を行うことが可能となるため、従来のパッケージ生産ラインを変えることなく識別を行うことが可能です。
1cm四方の大きさで認証可能
印刷のムラを識別に使用するエリアは1cm×1cm以内の小さなエリアです。
認証エリアが小さいため、第三者に撮像エリアを特定されにくい点が特徴です。また、パッケージに汚れや傷があったとしても認証できるため、あらゆるパッケージで対応できる技術です。
不正転売品の流通元特定にも役立つ
ステルス個体識別技術は不正転売品の流通元特定にも役に立ちます。
近年、正規の販売ルートではない形で不正に転売されるケースが増えています。しかし、不正転売品は流通元の特定を避けるために、コードを切り取られて流通しているケースが多いため、不正転売品の流通経路の特定や摘発を進めることが難しい状況にあります。
ステルス個体識別技術で「デジタル指紋」でも管理することで、シリアルナンバーや2次元コードが使用不可能になったとしてもトレーサビリティは担保されるため、不正転売品の流通元特定や対策を進めることが可能になります。
03ステルス個体識別技術を活用した偽造品対策システムとは
”Deep IS®”でトレーサビリティの信頼性強化を実現
フジシールインターナショナルはステルス個体識別技術を活用したトレーサビリティシステムの”Deep IS®”を提供しています。
”Deep IS®”は印刷のわずかなムラを識別する「ステルス個体識別技術」を活用し、製品のトレースを行うため、2次元コードを使用しなくても製品ごとの個体識別が可能です。
2次元コードを使用できなくなった場合でもトレースを行えるため、偽造品の判別が可能になります。

スマートフォン認証により、消費者側でも真贋判定が可能
個体識別情報はシステムのデータベースに格納されます。製品を購入した消費者はスマートフォンを利用して製品のパッケージを撮像することで、システムのデータベースの識別情報と照合し、真贋判定を行うことが可能です。
誤って模倣品を購入してしまった場合も、消費者が自らスマートフォン認証により偽造品を判別することも可能です。※
※スマートフォンは機種限定
マイクロスコープとPCで導入でき、扱いやすい操作性を実現
”Deep IS®”はパッケージを撮像するマイクロスコープと、製品情報を管理するPCがあれば導入できます。
また、個体識別済みラベルの供給も可能であるため、現行の出荷・流通工程のフローを大きく変えることなく比較的簡単に導入できます。
Deep IS® にご興味のある方へ
”Deep IS®”の導入事例や製品の詳細については以下のサービスで詳しくご紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。
Deep IS® はフジシールグループの商標または登録商標です。