ブランド毀損の原因とは?対処しづらい模倣品・不正転売品の対策法についても解説
ブランド毀損の原因とは?対処しづらい模倣品・不正転売品の対策法についても解説

ブランド毀損の問題は、ブランドの風化やプライバシーの侵害など社内に要因があるケースだけでなく、風評被害や模倣品・不正転売品の流通といった社外に要因があるケースも多いといえます。ブランド毀損のリスクは2020年にECサイトの拡大により、高まりつつあるのが現状です。では、ブランド毀損に対し、どのような対策を講じるべきでしょうか。本記事ではブランド毀損の要因と対策法について解説します。
目次
01ブランド毀損とは
ブランド毀損とは様々な要因や事象によって企業のイメージが低下する現象を意味します。
ブランド毀損が発生した場合、企業に対し社会的信用の定価や社内全体のモラル低下などの影響を受けます。
ブランド毀損が及ぼす影響

ブランド毀損が発生すると、企業の社会的信用は失墜し、売上の低下や取引の停止などのリスクが生じます。また売上や取引だけに留まらず、企業の存続に影響が及ぶ可能性もあります。
加えて、従業員の士気の低下により、生産性が下がり、業績悪化を招く恐れもあるため、ブランド毀損は企業にとって大きな問題になり得ます。
02ブランド毀損の要因(社内に要因があるケース)
ブランド毀損には様々な要因がある中で、特に社内に要因があるケースは「ブランドの風化や他のブランドの侵害」「プライバシーの侵害」「経営者や従業員の不適切な言動」「コンプライアンス違反」などが挙げられます。
ブランドの風化や他のブランドの侵害
ブランドの風化や侵害は企業が市場ニーズに応じた製品やサービスを提供できていない場合に発生します。
古いブランドイメージにこだわり、時代の変化に対応できていない場合は消費者に飽きられてしまい、ブランド価値の低下につながる可能性があります。
また、商標権やライセンスの侵害が発生すると、競合他社から訴訟を起こされる可能性もあり、訴状自体がブランドの信頼性を損なう結果になりかねません。
プライバシーの侵害
顧客の個人情報の取り扱いやセキュリティが不適切な場合、プライバシーの侵害が発生し、企業に対する信頼が失われます。
顧客情報の流出により、ブランドイメージはもちろん、法的な問題にも発展する事態にもなりかねません。
経営者や従業員の不適切な言動
経営者や従業員の言動がブランド毀損につながるケースもあります。特に、経営者が公の場で不適切な発言をした場合、ブランド全体に影響が及ぶ可能性があります。
また、企業に対する不満の表明や顧客に対する不誠実な対応を従業員がSNSなどで発信した場合も、ブランドイメージが損なわれるリスクとなります。
コンプライアンス違反
企業のコンプライアンス違反は、一従業員の不適切な行動でも企業全体に深刻な影響を与える可能性があります。
法令や社内規範を遵守しない行動は、企業の信頼を損ねるだけでなく、社会的責任を果たしていないと見なされ、ブランドの価値を大きく低下させる要因となります。
03ブランド毀損の要因(社外に要因があるケース)
ブランド毀損の要因のうち、風評被害や模倣品・不正転売品の流通といった社外に要因があるケースもあります。
風評被害

風評被害はネガティブな情報や根拠のない噂により、企業やブランドの信頼が失われる要因を意味します。特にSNSやインターネットが普及している現代では、信頼性のない誤った情報が瞬時に拡散され、企業イメージが著しく損なわれてしまったケースも珍しくありません。
模倣品・不正転売品の流通
模倣品や不正転売品の流通は、正規品とは異なる品質の製品が市場に出回ることで消費者の信頼を損なう可能性があります。消費者が模倣品を購入し、その品質に不満を持つと、企業のブランドイメージに悪影響を与える可能性があります。
さらに、不正転売品が非公式の流通経路で販売されることで、価格の混乱や消費者の誤解を招き、ブランド価値の低下につながります。
04ブランド毀損の社内リスクはどのように対策するか
ブランドの風化や他のブランドの侵害
ブランドの風化や他ブランドの侵害への対策は、市場ニーズに適した製品やサービスを提供し、時代の変化に柔軟に対応することが重要です。
商標調査や自社商標の登録を強化し、権利侵害を防止するための体制を整えましょう。
プライバシーの侵害
個人情報の管理体制を強化し、セキュリティ対策を徹底することも重要です。
従業員に対してプライバシー保護に関する教育を行いましょう。
経営者や従業員の不適切な言動
行動規範を策定し、従業員に対して適切な言動を求めるように教育を行うことも対策の1つです。不適切な発言や行動を未然に防ぐための方針を明確にしましょう。
コンプライアンス違反
従業員に対して法令や社内規範を遵守するための教育を徹底します。
定期的な内部監査を実施し、コンプライアンス違反を早期発見できる体制を整備しましょう。
05ブランド毀損の要因が社外にあるケースはどのように対策するか
企業としての信頼性を高め、風評被害のリスクを下げることが重要
風評被害を予防するためには、まず企業としての信頼性を常に高めることが重要です。
具体的には、透明性のある経営を運営し、顧客や社会に対し誠実性のある情報提供を行う姿勢を示すことが求められます。
顧客や社会と信頼関係を構築し、社会的責任を果たすことが風評被害の予防につながります。
模倣品対策のためには模倣されない製品識別の仕組みの構築が重要
模倣品対策のためには正規品と模倣品を識別できるような仕組みの構築が重要です。
近年は模倣品の精度も上がっており、消費者でも識別できなくなっているケースも多くあります。
また、元々模倣品対策のためにつけられた2次元コード自体が比較的容易に模倣されてしまうため、識別が困難な状況になっています。ラベルやコードなど目に見える形では、模倣されやすいため、模倣されない製品識別の仕組みの構築が重要です。
不正転売品対策のためには流通元を特定できるようにすることが重要
不正転売品対策のためには流通元を特定できる仕組みを作ることが重要です。
自社ブランドの不正転売品が流通し、取り締まりを行う場合、流通元を特定する2次元コードが切り取られたり、複製されたりしているケースが多いため、特定できない可能性もあります。
取り締まりのためには2次元コードが使用できなくなっても識別できるようなシステムで製品をトレースできる仕組みを整える必要があります。
06近年高まっているブランド毀損リスクとは
近年、模倣品の増加によりブランド毀損のリスクも高まっているのが現状です。また、不正転売品によるブランド毀損のリスクも高まっているため、企業は対策を講じなければなりません。
模倣品流通によるブランド毀損リスクの高まり


2020年の世界的な感染症の流行により、EC市場が急拡大した結果、大量の模倣品が流通するようになりました。模倣品が大量に流通するようになり、消費者のブランドイメージや企業への信頼性の低下を招くリスクが高まりつつあります。
模倣品による日本企業の被害は拡大傾向にある
また、模倣品を制作する技術は年々高まっており、特に高利益率や市場シェアが高い商品が狙われやすい傾向にあります。
特許庁の調査によれば、グローバルでの模倣品による被害額は4,640億ドル(世界貿易額の2.5%に相当※1、日本企業の推計被害額は294億ドル※2(約3.2兆円)に及びます。
被害額は年々拡大の傾向にあり、またその被害が日本市場にも広がりつつあり、模倣品被害の深刻さが益々強まっています。
※1参照:特許庁「AIを利用した模倣品対策に関する調査研究報告書」
※2参照:特許庁「我が国法人の産業別模倣被害推計調査(2021年度)」
不正転売品によるブランド毀損リスクの高まり
近年では正規販売ルートではない流通経路で、不正に転売されているケースも増えています。
不正転売品は購入者が不具合に遭遇した場合、サポートを受けられない状況が生じやすいため、企業への信頼低下につながり、特に正規品としての保証が得られません。そのため、購入者は不満に感じ、ブランドイメージの毀損につながる可能性があります。
07模倣品・不正転売品対策が期待される「ステルス個体識別技術」とは
2次元コードを使用せず「デジタル指紋」で識別する技術

近年では2次元コード自体を使用しない識別技術が登場しています。従来までの2次元コードで製品を識別する方法では製品の識別や流通元の特定が困難であったことから、模倣品・不正転売品対策に活用できる技術として期待されています。
「ステルス個体識別技術」はパッケージに自然発生的に発現する印刷のわずかなムラを識別する技術です。
同じデザインを印刷したパッケージであっても、そのパッケージには人の目では識別不可能なレベルで自然発生的に発現する印刷のわずかなムラがあります。
そうした印刷のムラは指紋のように1つとして同じものはないため、印刷のムラを撮像し識別することで、製品1つ1つの違いを識別できます。
「ステルス個体識別技術」を活用することで2次元コードが使用できない場合もトレーサビリティを担保
ステルス個体識別技術の活用により、2次元コードなどの「可視コード」を使わない方法で、製品情報の管理が可能です。
従来まで使用していた2次元コードに加えて、ステルス個体識別技術で「デジタル指紋」でも管理することで、模倣品流通者にコードを複製されたり、不正転売品でコードを切り取られたりしても、ステルス個体識別による管理により、トレーサビリティは担保されます。
2次元コードが複製されたり、切り取られても個体識別が可能
製品の出荷時に2次元コードで製品をトレースすることに加え、パッケージの「デジタル指紋」も撮像しトレースしておく仕組みの構築により、2次元コードが複製されたり、切り取られたりしても識別が可能です。
模倣品で2次元コードが複製された場合でも、製品の識別が可能になるため、消費者が模倣品を誤って購入してしまった場合でも、正規品かどうかを判別することが可能です。
08ステルス個体識別技術で模倣品対策を実現するシステムとは
”Deep IS® システム”でトレーサビリティの信頼性強化を実現
フジシールインターナショナルはステルス個体識別技術を活用したトレーサビリティシステムの”Deep IS® システム”を提供しています。
”Deep IS® システム”は印刷のわずかなムラを識別する「ステルス個体識別技術」を活用し、製品のトレースを行うため、2次元コードを使用しなくても製品ごとに個体識別が可能です。
2次元コードを使用できなくなった場合でもトレースできるため、模倣品や不正転売品の流通元を特定できるようになります。

スマートフォン認証により、消費者側でも真贋判定が可能
個体識別情報はシステムのデータベースに格納されます。製品を購入した消費者はスマートフォンを利用して製品のパッケージを撮像することで、システムのデータベースの識別情報と照合し、真贋判定を行うことが可能です。
誤って模倣品を購入してしまった場合も、消費者が自らスマートフォン認証により偽造品を判別することも可能です。※
※スマートフォンは機種限定
マイクロスコープとPCで導入でき、扱いやすい操作性を実現
”Deep IS®システム”はパッケージを撮像するマイクロスコープと製品情報を管理するパソコンがあれば導入できます。また、個体識別済みのラベルの供給も可能であるため、現行の出荷・流通工程のフローを大きく変えることなく、比較的簡単に導入することが可能です。
Deep IS® システムにご興味のある方へ
”Deep IS® システム”の導入事例や製品の詳細については以下のサービスで詳しくご紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。
Deep IS® はフジシールグループの商標または登録商標です。