模倣品対策はなぜ難しい?対策の重要性やポイント、あるべき姿について解説
模倣品対策はなぜ難しい?対策の重要性やポイント、あるべき姿について解説

近年、模倣品による被害が増加しているものの、識別コードの複製や偽造防止の限界などにより模倣品対策は困難といえます。しかし、模倣品被害はブランド毀損リスクや競争優位性の低下を招くリスクがあるため、対策を取らなければなりません。本記事では模倣品の対策方法とその難しさを解説しつつ、模倣品対策として有効的な「ステルス個体識別技術」を活用したシステムを紹介します。
目次
01模倣品とは

模倣品とは、オリジナル商品のデザインや形状をコピーして作られた商品です。
外観や機能が類似しているため本物の商品と誤解されやすいものの、ブランドのロゴや名称を必ずしも使用しているわけではありません。
一部の国では法的に違法とならないケースもあるものの、知的財産権を侵害する可能性があるため、ブランドのデザインやアイデンティティを損なうリスクとして問題視されています。
海賊版との違い
海賊品とは、ブランドロゴや名称、パッケージなどを無許可で使用し、本物と偽って販売される商品です。海賊品は消費者に「本物である」と誤認させる意図が明確にあり、法律上では「偽造品」として扱われています。知的財産権や商標権を侵害しているため、法的に厳しく取り締まられる対象となります。
02模倣品対策はなぜ重要であるか
ブランド毀損リスクや競争優位性の低下を招くリスクがある
2020年の世界的なパンデミックにより、EC市場は急激に拡大し、模倣品が大量に流通するきっかけとなりました。模倣品の大量流通により、消費者のブランドイメージや企業への信頼性を低下させるリスクが高まっています。
消費者が模倣品を購入し、その品質に不満を持つと、企業のブランドイメージに悪影響を与える可能性があります。さらに、模倣品の市場流通により、ブランドの希少性や売上の低下を招く恐れもあります。
模倣品の流通を放置しておくと、ブランドや売上に影響を及ぼすため、早期に手を打つ必要があります。
模倣品による日本企業の被害は拡大傾向にある
また、模倣品を制作する技術は年々高まっており、特に高利益率や市場シェアが高い商品が狙われやすい傾向にあります。
特許庁の調査によれば、グローバルでの模倣品による被害額は4,640億ドル(世界貿易額の2.5%に相当※1、日本企業の推計被害額は294億ドル※2(約3.2兆円)に及びます。
被害額は年々拡大の傾向にあり、またその被害が日本市場にも広がりつつあり、模倣品被害の深刻さが益々強まっています。
※1参照:特許庁「AIを利用した模倣品対策に関する調査研究報告書」
※2参照:特許庁「我が国法人の産業別模倣被害推計調査(2021年度)」
03模倣品の対策方法
模倣品の流通拡大を防止する、消費者の購入を防止する、などの方法が対策として挙げられます。では、具体的な対策方法をみていきましょう。
模倣品流通拡大を防止する

まず模倣品流通拡大を防止する対策を講じましょう。具体的な防止策は以下の3つがあります。
- 告知・注意喚起
- ECサイトなどで流通の監視、削除申請
- 税関での差し止め対策
【告知・注意喚起】
模倣品の存在を発見した場合、存在している事実を消費者に「告知」することが重要です。
模倣品の使用による消費者の不利益を防止しましょう。
同時に、企業が模倣品の存在を把握することで、模倣品を決して許さない姿勢のアピールにもつながります。
直接商品自体に模倣品への注意喚起メッセージを貼り付ける方法も有効的です。
【ECサイトなどで流通の監視、削除申請】
模倣品がインターネット上のECサイトなどで流通しているのを発見した場合、「監視および削除申請」が有効的です。模倣品作成者の販路を断つことで、模倣品の流通を阻止します。削除申請はECサイトやサービスプロバイダの規約に則り、商標権などの行使によって実施しましょう。
【税関での差し止め対策】
海外で製造された模倣品が日本国内に持ち込まれるケースも珍しくありません。そういった場合、「税関による差し止め」が有効的です。対象となる製品を税関に申請することで、疑わしい製品が発見された場合に申請企業に連絡が入ります。
消費者の購入を防止する・消費者に識別できる目印を付与する
商品にホログラムや製品IDを活用した認証の仕組み、いわゆる「正規品の目印」を付与する方法です。購入前に消費者が正規品であることをチェックできる仕組みを整備することで、模倣品の購入を防止できます。
また、識別できる目印の有無により、正規品か模倣品かを識別することが可能です。
流通経路の特定により、流通元を特定する
各製品にシリアルナンバーや2次元コードなど固有の識別コードを付与し、製造元や製造日時、出荷先など詳細情報をデータベースに記録することで、製品の追跡が可能になります。
これらデータベース内の流通経路との照合により、流通経路の確からしさが高められ、正規品かどうかを見分けることができます。
04模倣品対策はなぜ難しいか

識別コードが複製されることによる真贋判定の難しさ
商品に付与した正規品の目印や、トレーサビリティのための識別コードは正規品との判別をする上で有効な手段です。しかし、識別コード自体も複製されてしまうケースがあります。
識別コードの複製により、流通経路の確からしさが歪められ、模倣品かどうかの判別が難しくなります。
製品やパッケージを使用した偽造防止の限界
模倣品の製品の精度は向上しており、製品やパッケージを目視で見分けることは困難です。
特殊加工や印刷をしても模倣されてしまうため、識別コードに頼らずに正規品であることを判別するのも難しい状況にあります。
以上のことから識別コードやパッケージを使用した模倣品対策は難しい状況にあります。
消費者側だけでなく、メーカー側でも判別を行うことや、対策することが困難になっています。
05模倣品対策のポイントとあるべき対策の姿とは
識別コードやパッケージを使用することにより正規品であることを保証する方法では、対策が難しい状況にあります。そのような状況では、模倣品流通者に分からない形で識別できる仕組みを整えることが重要です。
模倣品流通者に分からない形で識別できる仕組みを整えること
シリアルナンバーやコードなどの可視コードや、特殊加工などといった方法で正規品であることを保証する対策では、模倣品流通者に真似られてしまいます。そのため、「模倣品流通者に分からない形で識別できる仕組み」を整えることが重要です。
模倣品流通者にも分からない部分で製品を識別できていれば、仮に模倣されたとしても製品のトレーサビリティは担保されます。
具体的には「デジタル指紋」を識別する技術が挙げられます。
06目視で判別できない「デジタル指紋」を識別する技術とは

「ステルス個体識別技術」は「デジタル指紋」を識別する技術の1つです。可視コードを使用しなくても正規品と模倣品の識別が可能になります。
印刷のわずかなムラを識別する「ステルス個体識別技術」とは
「ステルス個体識別技術」とは、パッケージに自然発生的に発現する印刷のわずかなムラを識別する技術です。同じデザインを印刷したパッケージであっても、そのパッケージには人の目では識別不可能なレベルで自然発生的に発現するわずかなムラがあります。
そうした印刷のムラは、指紋のように1つとして同じものはないため、印刷のムラを撮像し識別することによって、製品1つ1つの違いを識別することが可能です。
パッケージの特殊加工は不要可視コードを使用することなく正規品との判別が可能に
ステルス個体識別技術の活用によりバーコードなどの「可視コード」を使わない方法で製品情報を管理できます。
従来まで使用していた2次元コードに加えて、ステルス個体識別技術で「デジタル指紋」を管理し、模倣品流通者に分からない方法で製品管理を行うことが可能です。
そのため、コードを複製された場合でもステルス個体識別による管理により、トレーサビリティは担保されるため、正規品と模倣品との判別が可能となります。
07ステルス個体識別技術を活用した模倣品対策システムとは
”Deep IS® システム”でトレーサビリティの信頼性強化を実現
フジシールインターナショナルはステルス個体識別技術を活用したトレーサビリティシステムの”Deep IS® システム”を提供しています。
”Deep IS® システム”は印刷のわずかなムラを識別する「ステルス個体識別技術」を活用し、製品のトレースを行うため、2次元コードを使用しなくても製品ごとの個体識別が可能です。2次元コードを使用できなくなった場合でもトレースを行えるため、正規品と模倣品との判別が可能です。

スマートフォン認証により、消費者側でも真贋判定が可能
個体識別情報はシステムのデータベースに格納されます。製品を購入した消費者はスマートフォンを利用して製品のパッケージを撮像することで、システムのデータベースの識別情報と照合し、真贋判定を行うことが可能です。
誤って模倣品を購入してしまった場合も、消費者が自らスマートフォン認証により偽造品を判別することも可能です。※
※スマートフォンは機種限定
マイクロスコープとPCで導入でき、扱いやすい操作性を実現
”Deep IS® システム”はパッケージを撮像するマイクロスコープと、製品情報を管理するPCがあれば導入できます。
個体識別登録済みのラベルの供給も可能であるため、現行の出荷・流通工程のフローを大きく変えることなく、比較的簡単に導入できます。
Deep IS® システムにご興味のある方へ
”Deep IS® システム”の導入事例や製品の詳細については以下のサービスで詳しくご紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。
Deep IS® はフジシールグループの商標または登録商標です。