偽造防止印刷には何がある?特殊印刷・加工で防止しきれない場合の対策法も紹介
偽造防止印刷には何がある?特殊印刷・加工で防止しきれない場合の対策法も紹介

近年模倣防止印刷としては、インキや加工による様々な技術が活用されていますが、模倣技術の高まりにより、こうした対策自体も模倣されてしまう可能性があります。特殊印刷・加工で防止しきれない場合は、「模倣されない技術」を活用することが重要です。本記事では偽造防止の重要性、偽造防止に活用される主な技術に触れながら、模倣されない偽造防止の技術を紹介します。
目次
01偽造品とは

「偽造品」とは、他社のブランドや製品デザイン、ロゴ、商標などを無断で使用して模倣された商品です。偽造品は正規品と酷似しており、消費者が本物と誤解しやすい点が特徴で、消費者の信頼を利用しようとする意図があります。偽造品として模倣されやすい商品は、高級ブランドのバッグや衣料品、化粧品、電化製品、電子部品など多岐に渡ります。
偽造品が流通することにより、ブランドの信頼や価値の低下、売上などに悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、多くの企業はトレーサビリティ技術の導入や法的手段を行い、偽造品対策を強化しています。
偽造防止の印刷技術
偽造品防止印刷技術は、商品のパッケージや認証書などに用いられ、偽造品と正規品を区別する手段として効果的です。代表的な印刷技術としては、ホログラム加工や特殊インク、マイクロ文字などの技術があります。
02偽造防止はなぜ重要であるか
ブランド毀損・希少価値低下リスクがあるため
2020年の世界的なパンデミックにより、EC市場は急激に拡大し、模倣品が大量に流通するきっかけとなりました。模倣品の大量流通により、消費者のブランドイメージや企業への信頼性を低下させるリスクが高まっています。
消費者が模倣品を購入し、その品質に不満を持つと、企業のブランドイメージに悪影響を与える可能性があります。さらに、模倣品の市場流通により、ブランドの希少性の低下を招く恐れもあります。
売上や競争優位性が低下するリスクがあるため
市場に偽造品が多く流通するようになると、偽造品を購入する人が増えてしまい、正規品の売上が低下します。また、売り上げの低下は一時的なものではなく、長期的な影響としてファン層やリピーターの減少を招く恐れもあります。
偽造品の流通の放置は、短期的には販売機会の損失や価格競争の激化、長期的にはブランドの信頼性と価値を著しく低下させる結果を招く恐れにつながることから早期に手を打つ必要があります。
03主な偽造防止の印刷・加工技術

代表的な偽造防止の印刷・加工技術には、「真贋性を判別する技術」「デザインの独自性を強化する技術」「触感による識別を強化する技術」の3つが挙げられます。
真贋性を判別する技術
真贋性を判別する技術には「特殊発光インキ」「マイクロ文字」「ホログラム」の3種類があります。
特殊発光インキとは紫外線や特定波長の光を照らすと反応するインキです。肉眼では見えない情報の読み取りが可能で、容易に偽造品との識別ができるようになります。
マイクロ文字とは肉眼では認識できない微細な文字を印刷し、複製を困難にする技術です。コピー機やスキャナーでの再現が困難になります。
ホログラムは光の角度によって変化する立体的な画像を作り出し、偽造品との識別を明確にできます。高精度な技術が求められ、偽造防止効果が非常に高い技術です。
デザインの独自性を強化する技術
デザインの独自性を強化する技術の代表例は「特色インキ」「箔押し加工」「クリアインキ・クリアニス」の3つです。
特色インキとは金や銀、メタリックなどの特殊な色の使用により、他製品との差別化を図り、偽造を難しくする技術です。特に高級感やユニークな外観を持たせるために活用されるケースが多くあります。箔押し加工とは金属箔や色箔を圧力と熱で転写する技術です。光沢感を持たせることで、総則的な要素として視覚的に強調し、製品の価値を引き立てます。
クリアインキ・クリアニスとはツヤや凹凸を加え、触感や光沢感を強調する技術です。商品に高級感を与え、他のパッケージとの差別化を図ります。
触感による識別を強化する技術
触感による識別を強化する技術には「エンボス加工」や「クリアインキ・クリアニス」などがあります。
エンボス加工とは紙や金属に凹凸をつけ、模様や文字を浮き上がらせることで視覚だけでなく触覚でも本物か偽造品かを確認できる技術です。高級品やブランド品に活用されるケースが多くあります。クリアインキ・クリアニスはデザインの独自性の強化だけでなく、触覚によっても識別を強化できる技術です。表面にツヤや立体感を出すことができ、触れた際に質感が異なるため、消費者が直接手に取って識別するサポートをします。
その他の識別技術
その他の識別技術としては「透かし」や「ホログラム」があります。
透かしとは紙に特定の模様や文字を透かすことで、光にかざした際に特徴的なデザインが現れる技術です。消費者は正規品と偽造品を簡単に識別できるようになります。
ホログラムとは見る角度によって画像が変化し、消費者が簡単に正規品と偽造品とを判別できる視覚的な特徴を提供する技術です。
04特殊印刷・加工での偽造品対策はなぜ難しいか
模倣対策の向上による印刷・加工技術を使用した偽造防止の限界

上記の印刷・加工技術で対策して偽造品の流通を減らす対策を取ることは可能です。しかし、近年では偽造品の製品の精度が向上しており、製品やパッケージを目視で見分けることも難しくなっています。
特殊加工や印刷をしても模倣されてしまうため、特殊加工や印刷だけで偽造防止をすることは困難な状況にあります。
05特殊印刷・加工で防止しきれない場合の対策法
特殊印刷・加工以外で、真贋判定ができる技術を活用すること
上記のように、特殊加工や印刷だけではそれ自体も模倣されてしまうため、偽造品対策は困難な状況です。そのため、特殊加工や印刷以外で偽造品でないことを識別できる技術を活用することが重要です。
特殊加工や印刷以外で真贋判定ができる技術で製品管理を行えば、特殊印刷や加工を模倣された場合でもトレーサビリティは担保されます。
具体的には以下のような識別方法があります。
印刷のわずかなムラを識別「ステルス個体識別技術」とは
「ステルス個体識別技術」はパッケージに自然発生的に発現する印刷のわずかなムラを識別する技術です。
同じデザインを印刷したパッケージであっても、そのパッケージには人の目では識別が不可能なレベルで自然発生的に発現する印刷のわずかなムラがあります。
そうした印刷のムラは指紋のように1つとして同じものはないため、印刷のムラを撮像し識別することによって、製品1つ1つの違いを識別できるようになります。
パッケージの特殊加工は不要
ステルス個体識別技術はパッケージに自然発生的に発現する印刷のわずかなムラを識別するため、識別にあたり特殊な加工は不要です。

生産したパッケージに自然発生する印刷ムラが「デジタル指紋」となり、個体識別を行うことが可能になるため、従来のパッケージ生産ラインを変えることなく識別できるようになります。
偽造品防止や、2次元コードの信ぴょう性向上にも役立つ
パッケージに自然発生的に発現する印刷のわずかなムラを識別する「ステルス個体識別技術」は偽造防止だけでなく、製品識別に使用していた2次元コードやRFIDの信ぴょう性向上にも役に立ちます。
2次元コードが印刷されたパッケージを使用している場合、2次元コード自体も模倣されてしまう可能性があります。2次元コードも模倣されると偽造品と正規品の識別ができなくなりますが、そうした場合に備えてパッケージの印刷ムラも合わせて識別をしていると、2次元コードが模倣されても印刷ムラを使用した偽造品と正規品の判別は継続して行うことができます。
06ステルス個体識別技術を活用した偽造品対策システムとは
”Deep IS® システム”でトレーサビリティの信頼性強化を実現
フジシールインターナショナルはステルス個体識別技術を活用したトレーサビリティシステムの”Deep IS® システム”を提供しています。
”Deep IS® システム”は印刷のわずかなムラを識別する「ステルス個体識別技術」を活用し、製品のトレースを行うため、バーコードを使用しなくても製品ごとの個体識別が可能です。
バーコードを使用できなくなった場合でもトレースを行うことができるため、偽造品を判別できるようになります。

スマートフォン認証により、消費者側でも真贋判定が可能
個体識別情報はシステムのデータベースに格納されます。製品を購入した消費者はスマートフォンを利用して製品のパッケージを撮像することで、システムのデータベースの識別情報と照合し、真贋判定を行うことが可能です。
誤って模倣品を購入してしまった場合も、消費者が自らスマートフォン認証により偽造品を判別することも可能です。※
※スマートフォンは機種限定
マイクロスコープとPCで導入でき、扱いやすい操作性を実現
”Deep IS® システム”はパッケージを撮像するマイクロスコープと、製品情報を管理するPCがあれば導入できます。
また個体識別済みラベルの供給も可能であるため、現行の出荷・流通工程のフローを大きく変えることなく、比較的簡単に導入することが可能です。
Deep IS® システムにご興味のある方へ
”Deep IS® システム”の導入事例や製品の詳細については以下のサービスで詳しくご紹介していますので、ご興味のある方はご覧ください。
Deep IS® はフジシールグループの商標または登録商標です。